カリフォルニアワイン 4つのぶどう畑のぶどうから作られるこだわりの逸品 The Insider

カリフォルニアワイン 4つのぶどう畑のぶどうから作られるこだわりの逸品 The Insider

南カリフォルニアで仕事仲間と夕食を共にする機会がありました。アメリカ人とフランス人と日本人。アメリカ人の同僚が選んでくれたレストランはステーキがお薦め。そこで、私が選んだワインが、Vinum Cellers の`The Insider` というワインでした。

Vinum Cellersは、北カリフォルニアのナパにある比較的小さなワイナリーです。1997年に Richard Brunoと Chris Condosの2人により設立されました。

このワイナリーは、設立当初から、作りたいワインにあった「ぶどう」を見つけることにこだわっています。このため、ぶどうの選定にあたっては、地元ナパを飛び出し、カリフォルニアじゅうのブドウ畑を見て回り、厳選されたぶどうを買い付けています。そのおかげもあって、カリフォルニア各地のブドウ畑と強いコネクションを持っていて、それが良いぶどうを入手するための強みになっています。

また、発酵や熟成にも、伝統的な手法と独自の手法を組み合わせ、かなりのこだわりが見られます。

`The Insider` というこのワインは、カベルネソーヴィニオンという品種のぶどうを100%使用しています。そして、そのカベルネ・ソーヴィニオンを、南カリフォルニアの高級ぶどう産地「パソ・ロブレス」にある4つの異なった地域(Adelaida, Templeton Gap, Creston, Santa Margarita Ranch)のぶどう畑から買い付けています。4つの異なったぶどう畑で育ったカベルネソーヴィニオンのそれぞれの個性が失われない様に、それぞれ異なった方法で発酵、熟成させ、最後の最後に4種類を同じ樽で熟成させるそうです。

少し難しい話になりますが、このワインの作り方をフランスに当てはめると「ボルドーのワイン醸造家が、南西地方のBergerac, Pecharmant, Buzet, Bearn辺りの4地域からぶどうを買い付けて、独自の手法でワインを作っている。」ことになります。伝統を重んじるフランスではとても考えられないことですが、自由な発想のアメリカでは、こうした独創的で合理的な考え方が許されてしまいます。`The Insider`は、まさにアメリカらしさを体現するワインといえるでしょう。

ちなみに’The Insider`というのは、なかなか手に入らない美味しいぶどうを高級ブドウ畑から買い付ける際の「秘密契約」を意味する業界用語だそうです。彼らが作り上げていた独自のコネクションを使って、4ヶ所ものぶどう畑から最高級のぶどうを買い付けていることを、誇りに思って付けた名前なのでしょう。

このワイン、飲むとまず、「甘い!」と感じます。果実の上品な甘さが口一杯に広がります。この甘さが、アメリカのステーキの肉汁にぴったりなんです。もちろん、カベルネソーヴィニオンらしく、黒いベリー、ひのき、ペッパーなどの香り、フレンチオークの樽からくるヴァニラの香り、そして飲んだ後のタンニンの余韻などが楽しめます。

ふだんはボルドーを飲みつけているフランス人の同僚にとっては、少し甘すぎるかなぁと少し心配していましたが、彼も「美味しい!ステーキにぴったり。」と絶賛していました。

日本では入手出来ないようですが、Vinum Cellersのワイナリーで$25で販売。レストランでは、$70前後で注文することが出来ます。仲間とワイワイ楽しく語り合いながら、ステーキを食べる、そんな気取らないシチュエーションにぴったり。4つのぶどう畑からとれたぶどうが醸し出す複雑な味わいを楽しんで下さい。