奥様への愛をこめたカリフォルニアのピノノワール「園」

奥様への愛をこめたカリフォルニアのピノノワール「園」

旅行中の機内で、Ch.igai Takaha ワイナリーの「園」というワインを飲みました。

Ch.igai Takahaは、日本の杉本ご夫妻がカリフォルニアで展開するワインプロジェクトです。杉本家の家紋である「違い鷹羽」は、ローマ字表記では、Chigai Takahaですが、それを少しだけ変化させて Ch.igai Takahaとして、「シャトー・イガイ タカハ」と読ませます。日本の伝統を感じさせる素晴らしいネーミングだと思いませんか。

杉本さんは、米国企業の日本代表をやられていて、カリフォルニアを頻繁に訪問されるうちに、すっかりカリフォルニアワインの魅力に取りつかれたそうです。カリフォルニアワインファンクラブという団体を立ち上げたり、東京でカリフォルニアワインを楽しむレストランを開かれたりと、カリフォルニアワインに関する活動を積極的に展開されていました。

そんな杉本さんは、遂にご自分でワインを作られるまでになります。アメリカには、ワインを作ったことが無い人でも、ワイン作りをサポートしてくれるサービスがあります。そうしたサービスの老舗である、サンフランシスコのCrushpad社のサービスを利用してワイン作りを始められたそうです。(Crushpad社は倒産し、今は、Dogpatch Wineworksという会社が事業を継承しています。)

ところでSteve Brewerというワインメーカーをご存知でしょうか?Melville, Steve-Clifton, Diatomといったカリフォルニアの有名ワインを作った著名な方です。杉本ご夫妻はSteve Brewerと交流が深かったそうです。Diatomというワインは名前に漢字を使うことで有名でしたが、それも杉本ご夫妻からの影響です。

杉本ご夫妻とSteve Brewerの交友関係は、その後、驚くような展開をみせます。2012年にSteve Brewerが、伝説のブランドDiatomを杉本ご夫妻に譲ることになったのです。Ch.igai Takahaのワインには、漢字名がついたものが多いのですが、それらの多くは、Diatomから引き継いだものです。

杉本ご夫妻のワインプロジェクトには、カリフォルニアの著名ワインメーカーが沢山参加しています。お二人の人柄が、素晴らしい人々を引き寄せるのでしょうか。

この「園」というワインも、漢字がワイン名になっていますが、これはDiatomから引き継いだものではなく、Ch.igai Takahaのオリジナルです。このワイン名、奥様の旧姓である「園田」から取ったそうです。ご主人の奥様に対する愛情が感じられる名前ですね。

このワインは「ピノノワール」という品種のぶどうから作られています。鼻を近づけると赤いベリーや華やかな花などピノノワールらしい香りがあがってくるのですが、口に含むと意外にしっかりとした味がします。この日の機内食は和牛ステーキだったのですが、ステーキに負けないしっかりとした濃い味わいでした。

ぶどうの生産地は、南カリフォルニアのサンタバーバラ郡にあるSanta Rita AVA (ワイン生産地区)です。ロサンゼルスから北東に150キロ位の場所にあります。海岸に近く、太陽が燦々と照りつける土地です。このしっかりとした味わいは、そんな土地柄が生み出したものでしょうか。

このワイン、料理に合わせても良いのですが、それだけで飲んでもとても美味しいです。ナッツやチーズなど、軽いつまみと共に、親しい人と少し贅沢な時を楽しむのに良いのではないでしょうか。このワインは、日本で12,000円程度で手に入る様です。

ところで、アメリカのワイン作りサービスですが、最低注文単位はひと樽からで、1つの樽から300本位のワインが取れるそうです。いつの日か、皆さんと一緒に、自分たちオリジナルのカリフォルニアワインを作ってみたいと思います。