ロサンゼルス最後のワイナリーが生んだ一本 Maddalena 

ロサンゼルス最後のワイナリーが生んだ一本 Maddalena 

友人夫妻が、南カリフォルニアの自宅を訪ねてくれました。友人は「メルロー」というブドウ品種から出来たワインが好きとのこと。

早速、近くのWhole Foods(スーパー)で`Maddalena`という名前のメルローで造られたワインを買ってきました。ロサンゼルスのダウンタウンにあるSan Antonioワイナリーのflagshipワインです。

Maddalenaというのは、イタリア人女性の名前です。では、何故このワインがMaddalenaという名前なのでしょうか?それを知るためには、San Antonioワイナリーの歴史を少しだけ知る必要があります。

イタリア北部ロンバルディア州(ミラノがある州です。)出身のSanto Cambianicaは1910年にアメリカに移住、1917年に現在のロサンゼルスにSan Antonioワイナリーを開設します。

今でこそ、カリフォルニアのワイン生産の中心はナパやソノマといった北カリフォルニアですが、その頃は南カリフォルニアのロサンゼルス地区が最大のワイン生産地でした。

1936年にSantoの甥のStefano Riboliが、このワイナリーを手伝い始めます。働き者の彼はすぐにこのワイナリーになくてはならないメンバーとなり、1956年にSantoが亡くなった後は、このワイナリーの経営にあたることになります。そのStefanoが1946年に結婚したのが、このワインの名前になっているMaddalenaなのです。

Stefanoが経営を引き継いだ頃、ロサンゼルス地区より、もっと北の方が、良いブドウを生産するのに向いていることが分かってきました。そこで、Stefanoは、ロサンゼルス地区のブドウに固執せず、良いぶどうを求めて北部のぶどう畑を探します。今では、ナパ、モントレー、パソロブレスの3ヶ所にぶどう畑を持っています。

それでも、ワイナリーは今でも、1917年の創業時と同じ、ロサンゼルスのダウンタウンにあります。創業100年ですね。今では、ロサンゼルスで唯一のワイナリーだそうです。100年前は、ロサンゼルスがカリフォルニアのワイン生産の中心地だったとは、今では考えられません。

このMaddalenaに使われているブドウは、パソロブレスのブドウ畑で生産されています。パソロブレスは、ロサンゼルスとサンフランシスコの中間地点にある南カリフォルニアの代表的なブドウ産地です。

日曜日の夕方、知人ご夫妻と、自宅の近くの丘の上から夕陽を見ようということになり、このワインを持って出かけました。

鼻を近づけると、赤系のベリーやインク、腐葉土などの香りが上がります。口に含むと、ほのかな果実の香りと酸味が心地よく、飲んだ後には少しスパイスの味が残ります。

苦味もなく、でも適度な重みがあり、バランスの取れたとても美味しいワインです。様々なタイプの人々の好みに応えているワインで、様々な年齢、性、人種が混じったパーティーに最適だと思いました。

このワインは、日本では手に入らない様ですが、カリフォルニアでは$15-20で入手可能です。