芸術を愛する情熱家が作った南カリフォルニアのワイナリー Sculpterra

芸術を愛する情熱家が作った南カリフォルニアのワイナリー Sculpterra

ロサンゼルスから350km程北上、またはサンフランシスコから同じく350km程南下すると、サン・ルイ・オビスポという郡(County)がありますが、そこに最近注目を集めるワイン生産地区(AVA)「パソソブレス」があります。同生産地区のLinne Valleyにある`Sculpterra`というワイナリーへ行ってきました。

このワイナリーのオーナーであるDr. Frankelは、ニューヨーク生まれ。ニューヨークで医者として働きはじめ、その後ロサンゼルスのUCLAの勤務医を経て、カリフォルニアのサンフェルナンド・ヴァレー(ロサンゼルス近郊)で開業医を始めました。

3人の子供を育てながら、もう少しのんびりとしたところで暮らしたいと考えていたDr. Frankelは、乗馬好きの奥さんの賛成も得て、1979年にパソロブレスに移って、20エーカー(東京ドーム1.7個分)の土地を購入。開業医を初めると共に、趣味で果樹園を始めました。その時は、趣味で始めたこの果樹園が、後にぶどう畑となり、ワイナリーの開始へとつながるとは、想像もしていませんでした。

その後、この果樹園でぶどうの栽培を開始し、果樹園を買い増して面積を大きくし、ついに2006年にこのワイナリーを開業したそうです。医者からワイン醸造家へ転身、何ともアメリカらしいストリーです。今は、2009年にCal Poli San Luis Obispoの醸造学科を卒業した息子がワイン作りを担当しています。

Dr. Frankelは、地元の芸術家を支援するのが好きなで、Dale Eversをはじめとする多くの地元芸術家の彫刻や世界的に有名なシカゴ出身の彫刻家John Jaggerの作品が、このワイナリーには飾られています。

この土地は、小石と粘土が混じり合っていて、フランス・ボルドー地方にあるメドック-グラーヴという地域にテロワール(土地の特性)が似ています。そのため、最初は、メドック-グラーヴで育つカベルネ・ソーヴィニオンの栽培から始めました。今は、135エーカー(約1,700平方メートル、東京ドーム約12個分)の広大な敷地に、敷地内のちょっとした気候の違いを利用して、カベルネ・ソーヴィニオン、プティ・シラー、ムールヴェルデ、ピノ・ノワール、グルナッシュ、シラー、カベルネ・フランなどの多くのぶどう品種が植えられています。

作られる量が少ないので、ここで作られたワインは、このワイナリーで消費される分以外は、少量が近くの小売店に出回りだけだそうです。もちろん、日本では手に入りません。

Dr. Frankelが集めた彫刻が飾られたティスティングルームで、早速ティスティングを楽しむことに。8種類ものワインを楽しんだのですが、最初の「ソーヴィニオン・ブラン」という品種から作られた白ワインを除いて、全てこのブドウ畑で採れたブドウを使っているそうです。(さすがに、ここの気候は冷涼地を好むソーヴィニオン・ブランというぶどう品種にはには暑すぎるとのこと。)

ティスティングを担当してくれたAnnという女性は、アルメニア出身で、サンフランシスコ育ち。あまり、ワインの地域は無いように感じられましたが、私の世間話に付き合ってくれました。

お薦めは、Figurineというカベルネ・ソーヴィニオン45%、ジンファンデル42%、メルロー13%のブレンド。カベルネ・ソーヴィニオンが、ジンファンデルの甘さを抑えてくれて、適度な甘さとタンニンの苦みのバランスが絶妙です。

日曜日の夜はコンサートも開かれ、庭で、ワインやチーズを楽しみながら、地元の音楽家の音楽家が楽しめるそうです。Dr. Frankelは、こうして地元の芸術家を支援するだけでなく、世界の恵まれない子供達を助ける医療活動も展開しているそうです。そんな、情熱家のDr. Frankelの息子が作ったFigurineというブレンド、なかなかお勧めです。