世界一美味しいジンファンデルを求めて 南カルフォルニアのワイン Turley Juvenile

世界一美味しいジンファンデルを求めて  南カルフォルニアのワイン Turley Juvenile

私は、ジンファンデルが大好き。ワインにとても詳しい友人に「世界一美味しいジンファンデルは?」と尋ねたところ、薦められたのが、南カリフォルニアのパソロブレスに本拠を置くワイナリー「Turley Wine Cellars」のジンファンデルです。早速飲んでみたのでご紹介しますね。

Turley Wine Cellarsは、ジンファンデルとプティシラーに特化したユニークなワイナリーです。ジンファンデルもプティシラーも、世界的にみてカリフォルニア以外では殆ど栽培されていない、「これぞカリフォルニア!」というぶどうです。カリフォルニアの強い日差しを浴びて育つので果実味が強烈。タンニンからくる渋みも強いので、好き嫌いがはっきりするぶどうですね。

このワイナリーの創業者はLarry Turley。パソロブレスには、変わり者のワインメーカーが多いのですが、彼もかなり変わり者なので、ご紹介しましょう。

もともと米国南部生まれの彼は、小さい頃から農業が好きだったようですが、成人して就いた職業はお医者さんだったそうです。(農業もお医者さんも生き物の世話をするという意味では同じとか。)1970年代半ばにカリフォルニアに引っ越して、仕事から帰ったある日、彼の敷地で不法にキャンプをしている見ず知らずの男がいました。いくらカリフォルニアが西部とはいえ、1970年代にもなって西部劇の様に、人の敷地でキャンプをしてるのはびっくりですよね。この男の名前は、John Williams。

さらにビックリするのは、Larry Turleyは、この不法侵入のJim Williansを追い出すどころか、歓待し酒を飲み交わすんですね。2人は、酒を酌み交わすうちに意気投合し、なんとその日のうちに、一緒にワイナリーを始めることを決断したそうです。こうして1981年に設立されたのがFrog’s Leap Winery。カリフォルニアに住む人なら、多くの人が知っている有名ワイナリーです。

でももっとビックリするのは、彼は、どうしても古木のジンファンデルから出来たワインを作りたいということで、これだけ成功したFrog’s Leap Wineryのビジネスからさっさと身を引いてしまいます。そうして1993年に出来たのがTurley Wine Cellarsです。(ジンファンデルには、古木信仰というのがあって、この話はとても面白いのですが、長くなるので、また別の機会に。)

それから、彼は、カリフォルニアじゅうの、ジンファンデルの古木が充実しているぶどう畑を買いあさります。その数は実に50を超えるそうです。最も古いパソロブレスのUeberothの畑のジンファンデルは何と1885年に植えられたそうで、樹齢実に134年ですね。これだけ沢山のジンファンデルの畑を買い占めれば、世界一のワインが期待できますね。

主に単一畑から出来たぶどうだけを使ったワインを作っているので、Turley Wine Cellarsのワインのブランド数は、畑の数とほぼ同数の47になります。さて、Turley Wine Cellarsをすすめられて、私が購入したワインは、この47のブランドのうちどれでしょう?

Turleyほどではありませんが、私もかなりへそ曲がりで、実は、Turleyがこだわった「古木から出来たワイン」ではないんです。さすがに古木も古くなりずぎると味が落ちるので、Turley Wine Cellarsでも、古木を少しづつ若いジンファンデルに植え替えているそうです。この若いジンファンデルだけから作られた 「Juvenile」というワインを今回は選びました。厳選された18のぶどう畑から選んだ最高品質の若いジンファンデルだけから作られたを自慢の1本です。

このワイン、鼻を近づけるとプラムの香りや樽からくるヴァニラの様な香りが。少しペッパー香、ハーブ香や樽のスモーキーな香りも。口に含むとジンファンデルらしいラズベリー系の濃厚な果実の味わいが。そして、これまた濃厚なタンニンの渋みの後味が強烈なワインです。単純に表現しましたが、味わいは割と複雑。2016年ですが、もう少し寝かしてからの方が美味しいかも。

私は、ジンファンデルは、大胆で、濃厚で、はっきりとした個性を持っているところがアメリカらしくて、大好きです。世界一美味しいジンファンデルを求めて、さらに飲み続けます。
あちゃー、また飲みすぎちゃいました。