スペインのワイン銘醸地 リベラ・デル・ドゥエロ

スペインのワイン銘醸地 リベラ・デル・ドゥエロ

スペインのワイン銘醸地「リベラ・デル・ドゥエロ」へ行ってきました。

マドリッドから北へ約160km、車で2時間。ドゥエロ川沿いに東西約100kmに渡って広がるワイン産地です。イベリア半島中央に広がるメセタと呼ばれる高地にあり、標高は800m前後と高尾山より少し高い位置にあります。

少し話が逸れますが、ドゥエロ川沿いには、リベラ・デル・ドゥエロの西側(下流)に、ルエダ、トロと言った有名なワイン産地が点在しています。この川は、ポルトガルに入るとドウロ川と名前を変え、酒精強化酒で有名なポルトで大西洋に注ぎます。ソムリエ試験によく出題される川で、とても大きな川を思い浮かべていたのですが、実際に見ると意外と小さな川でした。

リベラ・デル・ドゥエロを代表するワイナリーに「ベガ・シシリア」と「ペスケラ」があります。

「ベガ・シシリア」は19世紀創設の歴史あるワイナリー。地元のぶどう品種であるテンプラニーリョに、カベルネ・ソーヴィニオンなどのいわゆるボルドー品種と呼ばれるぶどうをブレンドさせたワインを作っています。非常に評価が高く、ボルドーの5大シャトー並みの価格がついています。チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式のワインに選ばれたことでも有名です。

「ペスケラ」は、ボルドー品種をブレンドするというそれまでの常識を覆して、地元のぶどう品種であるテンプラニーリョを100%使用した革新的なワインを作ります。このワインは、アメリカの有名なワイナリー経営者ロバード・モンダヴィの絶賛を浴びます。その斬新なスタイルはスーパー・スパニッシュと呼ばれています。

我々が訪問したのは「CEPA21」というワイナリー。リベラ・デル・ドゥエロへの玄関口である「アランダ・デ・ドゥエロ」と、リベラ・デル・ドゥエロの中心地である「ペニャフィエル」のちょうど真ん中辺りにあります。リベラ・デル・ドゥエロの有名ワイナリー「Emilia Moro」が展開する新プロジェクトだそうです。

アランダ・デル・ドゥエロからドゥエロ川に沿って、メイン道路を20kmほど走ると、突然左側に大きな建物が見えます。近代的な建物で、ワイナリーというより、美術館といった感じです。

ワイナリーの周りには、巨大なぶどう畑が広がっていますが、訪れたのが2月だったので、茶色が広がるのみ。

英語のワイナリーツアーは予約が必要。予約をしていなかったのですが、親切にも、急遽ミニ・英語ワイナリーツアーを、しかも無料でアレンジしてくれることに。ワイナリーツアーの準備が整うまでの間、早速、ワインをテイスティング。このテイスティングをした場所も近代的で、ワイナリーというより、IT企業の役員フロアーの受付の様でした。

ワイナリーツアーは本当に「ミニ」でしたが、発酵から醸造までの工程を一通り見ることが出来ました。やはり、印象は「とても近代的」だということ。リベラ・デル・ドゥエロは1990年代頃から、多くの革新的なワインメーカーが海外やスペインの他地域から入ってきて、近代的な設備で斬新なワインを作っています。

最後は、ぶどう畑を見下ろすレストランで食事。モダンとトラディショナルの2種類があり、モダンを選びました。日本の懐石料理を思い起こさせる創作料理。和のテイストを感じさせる器に、地元の素材を活かした料理が、少量づつ盛られて、次々と出てきます。

最後のデザートは、非常に創作的。フランスパン、ソーセージ、スープ、チーズ、エビのアヒージョなどのアペタイザーにそっくりに見えるのですが、実は全てケーキなんです。

ベガ・シシリアに代表される伝統的なスペインワインと、ペスケラに代表される新しいスペインワインが混在する「リベラ・デル・ドゥエロ」。とても魅力に溢れた場所です。