自然派カリフォルニアワイン Broc Cellars Vine Starr Zinfandel

自然派カリフォルニアワイン Broc Cellars Vine Starr Zinfandel

渋谷のBitter Valley Grill(ビターバレーグリル)で開催された 【東京】ワイン交流会主催の 5月交流会に参加しました。そこで、「驚きのワイン!」に出会いましたので、ご紹介させて頂きますね。
ビターバレーグリル https://bittervalleygrill.owst.jp
【東京】ワイン交流会 https://www.facebook.com/tokyo.wineevent/ 

このワインの作り手は、Broc Cellars (ブロックセラーズ)。米国ワイン界の革命児Chris Brockway (クリス・ブロックウェイ)が2004年に作ったワイナリーです。彼のワイナリーは、サンフランシスコから地下鉄で30分ほどの町「バークレー」にあります。バークレーは、60年代ヒッピー発祥の地であり、社会的、政治的に常に米国社会をリードしてきた進歩的な町。そんな町で作られているワインというだけでも、なんかワクワクしてきませんか?

バークレーは、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkely)もあり、独特の雰囲気。私事ですが。私の息子もこの大学に通っています。私も15年ほど前に、短期間ではありますが、ここで学びました。

そんな町の、サンフランシスコ湾に近い工場街の一角にある倉庫を改造したのが、クリスのワイナリーです。向かいはセメント工場、反対側にはバイクの修理工場。近くには貨物列車が頻繁に行き交う線路があります。凡人なら、こんな場所でワイン作りなどしません!これだけでも驚きです。

クリスは、ネブラスカ州オマハ(ウォーレン・バフェットの出身地として有名)出身。ワイン好きの継父の影響で、若い頃からワイン関係の仕事をしたいと考えていたそうです。ちなみに、継父が毎日飲んでいたワインは、ジンファンデルというぶどう品種からできたワイン。ジンファンデルは、カリフォルニア以外ではあまり栽培されていない品種です。

ネブラスカ大学で哲学の修士を得た後も、ワインへの思いが捨てられず、ネブラスカでしばらく仕事をした後、思い切ってカリフォルニアへ。カリフォルニア大学デイヴィス校で醸造学を学びます。同校にはワイナリーで研修できる制度がなかったので、卒業前にカリフォルニア大学フレスノ校へ転校します。卒業後、いくつかのワイナリーで働いた後、2004年にブロックセラーズを立ち上げます。

ワイナリーで働いている頃は、サンフランシスコで最初にできた自然派ワインのワインバー「Terroir」に通っていました。そんな影響もあったのでしょうか。彼は、自然派ワイナリーを作り始めます。

また、昔、継父が飲んでいた懐かしいジンファンデルの味を求めて色々なワインを試したのですが、なかなか見つからなかったそうです。彼は、その理由を「最近のワインは科学の力を使いすぎているからだ。」と考えました。彼がワインの仕事を始めるきっけかにもなった「継父が飲んでいた素朴な味のジンファンデル」を作るためにも、自然派を追求したのです。

彼の自然派にこだわる姿勢は徹底しています。ワインは、発酵させるために酵母を加えますが、彼は一切酵母を加えず、ぶどうそのものがもつ天然の酵母だけで発酵させます。また、通常は、防腐目的で硫黄を加えますが、彼のワインは一切硫黄を加えません。加える必要があっても最小限に抑えています。そして、農薬を使って育てたぶどうは、殆ど使っていません。

また、クリスは、大好きなワインが沢山飲める様にとの配慮から、ワインのアルコール度数を低めに抑えています。そのために、ぶどうが完全に熟す前に摘み取ります。ぶどうに含まれる糖分がアルコールの素ですから、早めに摘み取ったぶどうを使えば、アルコール度数の低いワインができるということです。

早摘みのぶどうを使って、できるだけ手を加えない手法で作られたワインは、これまでに味わったことにない、驚きの味に仕上がっています。「手を加えないワイン」が、これほどまでに、「科学の力を借りたワイン」と異なるとは!

この日に飲んだワインは、Vine Starr Zinfandel。ナパと並び称されるワイン銘醸地である「ソノマ」で作られたぶどう(ジンファンデル)を使っています。米国では$30前後、日本でも4,000円前後で入手できます。

ジンファンデルは、鼻を近づけると強烈な甘い果実香がしますが、このワインの果実香は控え目です。その代わりに、普段は強烈な果実味にかき消されてしまっているスパイス香などの複雑な香りが上がってきます。

そして、口に含んだ時には、本当にびっくりしました。通常のジンファンデルのあのジャミーな味わいは全くないのです。そのかわりに、ジンファンデルにはあり得ない、酸味が感じられます。そして、シナモンの様な優しいスパイシの味わいもあります。上品な味わいです。

何か料理に合わせるというよりも、このままで、その味わいを楽しみたいワインでした。すっかり、気に入ってしまい、何杯かおかわり。
あちゃー、今日も飲みすぎました。