亡き夫へのオマージュをテーマにしたカリフォルニアワインの傑作 Orion

亡き夫へのオマージュをテーマにしたカリフォルニアワインの傑作 Orion

友人たちとStarr ranch Orion 2013をテイスティングする機会がありました。
このワイン、南カリフォルニアを代表するワイン銘醸地「Paso Robres」のAdelaida地区にあるStarr ranchというワイナリーが作った赤ワインの傑作です。
このワイナリーのオーナーであるJudy Starrは、ウォール・ストリートで働くバリバリの金融ウーマンでした。しかし、巨万の富を得て、人生の成功者となった時、ふと子供の頃大好きだった土と触れ合う仕事がしてみたくなったそうです。

一念発起した彼女は、2000年にPaso Roblesにぶどう畑を購入し、ワイン作りを始めます。彼女は、金融ウーマンらしく、「高級ワインが数百ドルもするのは企業努力が足りないからだ。」として、「美味しいワインを手の届く価格で。」をモットーにワイン作りに取り組みます。彼女が毎晩ワイン研究に取り組む部屋も見せてもらいましたが、フラスコやらビーカーやらが散乱していて、まるで実験室のようでした。

そんな彼女の努力が実って、彼女が世に送り出したワインは好評を博します。そんな彼女のワインの中でも、特に彼女がお気に入りなのがこの‘Orion’です。
カベルネ・ソーヴィニオンとシラーというぶどう品種をブレンドしたワインは「ローヌ・ブレンド」と呼ばれ、フランスのローヌ地方でよく作られるワインです。どちらもフランスのぶどう品種で相性が良いです。

ところが、このOrionというワイン、カベルネ・ソーヴィニオンとシラーのブレンドに、なんとスペインを代表するぶどうであるテンプラニーリョを加えてしまったのです。掟破りであり、とても大胆です。
口に含むと、果実味、酸味、苦味のバランスが崩れて、熟成しきっていないテンプラニーリョのタンニン特有の渋味が感じられます。飲んだ後もしばらくこのタンニンの心地よさが感じられ、とても幸せな気分になります。
ここから先は私の想像ですが、このワイン、Judy Starrが、今は亡きご主人のことを思って作ったのではないでしょうか?
Orionというのは、ギリシャ神話に出てくる男性です。とても美男子の狩人でしたが、ある日妻に殺害され、星座となってしまいます。Juddy Starrは、このギリシャ神話の主人公と自分の夫を重ね合わせているような気がします。

そして、カベルネ・ソーヴィニオン、シラーという完璧なブレンドに、わざわさテンプラニーリョを加えたのは、テンプラニーリョが夫の好きなぶどう品種だったからではないでしょうか?彼女の大好きなシラーブレンドに、テンプラニーリョを加えて、ご主人のことを忘れない様にしたのではないでしょうか?
そんなことを想像して飲むと、さらに美味しさが増します。彼女のワインは彼女の想いがストレートに伝わってきて、大好きですワインの一つです。

なお、友人たちにワインを5段階で評価してもらいました。総合評価は3.7(女性3.6、男性3.8、回答者数 女性9名、男性10名)。ちなみに、ボリュームは3.6、果実味は2.9、酸味は2.9、渋味(タンニン)は4.0でした。