南フランスのルーション地方にあるColliour(コリウール)とBanylus(バニュルス)というAOC(ワイン産地)へ行ってきました。
地中海に面した風光明媚な町です。地中海を見下ろす急な斜面に、ぶどうの段々畑が広がっています。ぶどう畑の緑の向こう側に、地中海の青い海がどこまでも広がる景色は、あまりに美しく、うまく表現する言葉が見当たりません。
スペインとの国境に近いからでしょうか、中心部には、スペイン風の教会や住宅がみられます。レンガ色の建物と青い海のコンビネーションが、強い日差しに映え、独特の景観を作り出しています。
実際には、Banyulusの方が、少し南側(スペインとの国境寄り)にあるのですが、ワイン産地の定義としては、ColliourとBanyulusは同一地域で、その地域で作られる普通のワインがColliour産、VDNと呼ばれる特別なワインがBanyulus産と名乗ることが出来ます。
VDN(Vin Doux Naturel)は、日本では酒精強化ワインと呼ばれる甘口のワインです。発酵の途中で強いアルコールを加えて発酵を止め、ぶどうの糖分を残したものです。
フランス人の知人の方に連れて行って頂いたワイナリーは、Domaine La Tour Vieilleという名前のワイナリー。地中海を見下ろす、風光明媚な高台の上に立っています。当日は、オーナーのVincent Cantieさんも姿を見せ、ワイナリーツアーやテイスティングに付き合って下さいました。
「ボルドーは、樽を使ってワインの味を作っているが、南仏では美味しいぶどうが育つので、ぶどうの味そのもので勝負しています。」と誇らしげに語っていました。
まずColliour(コリウール)の赤ワインを3種類テイスティングしました。3つとも、グルナッシュ、シラー、ムールヴェドルという南フランスを代表するぶどうのブレンドなのですが、1つ目はグルナッシュ主体、2つ目はシラー主体、3つ目はムールヴェドル主体で、それぞれ個性が異なります。
グルナッシュは魚にも合いそうな穏やかな味わい、シラーはスパイスが際立ちラムなどの肉料理に合いそう。ムールヴェドルはまろやかなで、色々な料理に合いそうです。
その後、Banyulus(バニュルス)のVDN(酒精強化ワイン)を5種類楽しみました。BanyulusのVDNは、「熟成の過程で酸化させているかどうか。」、「熟成の過程で樽を使っているかどうか。」、「赤ワインか白ワインか。」などのコンビネーションで、沢山の異なった味わいが生まれます。
まず、酸化させていないものを2種類。「白」と「赤」。その後、酸化させたものを3種類。「樽で熟成していないもの。」、「樽で短期間熟成したもの。」、「樽で長期間熟成させたもの。」どれも味が大きく異なっていてとても面白いテイスティングでした。
その後、ワイナリーを見学したのですが、通常暗いところで行う熟成を、ここでは太陽のもとで行なっていました。南フランスの太陽をたっぷりと浴びたワインはとてもユニークでオススメです。